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daitube

Author:daitube
 「魚突き」ときどき「Bboy」でおなじみのYouTubeチャンネル「DAITUBE」です。

 使用している銛は「2mアルミ銛+土佐銛先」、ウエットは3mmを上だけ着たり着なかったりという軽装。ダンスのジャンルは「Breakin」で得意技はハイチェアです。

 鹿児島市内を拠点に、自転車で旅をしながら魚突きキャンプをしています。主に今年は離島旅にチカラを入れてます。

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竹島突行記 第1話

――海の中はまるで異世界だ。

 なんてことを思いながら、僕ちんは大きく息を吸う。次に体をくの字に曲げると、空を蹴って、遠くにぼんやり見える海底に向かってぐんっと伸びをする。日常生活とは真逆の動作。これを異世界と呼ばずしてなんと呼ぶのだろう、あの太陽が自分の足元に揺らめいているのだから。

 人口87人のその島の名は「竹島」といい、鹿児島県鹿児島市三島村の中にある小さな島だ。

 船の島までの所要時間はたった3時間。鹿児島市内で一人暮らしをしている僕ちんのマンションから、自転車で五分ぐらい行ったところにある「鹿児島港 南ふ頭」からフェリーは出ている。しかしながら、県の中心街からその程度の時間で行ける島にも関わらず、その島の名はあまり市民に知られていない。何を隠そう、島と本土をつなぐ船の便は「3日に1本」だけなのだ。

 つまり船に乗り込んだ時から、もう3日は本土に戻れないことが確定していた。

 そういえば船のチケットを買ったとき、受付のおばちゃんに「お弁当はもう買ってあるか」と聞かれた。横に目をやると、フェリー乗り場の待合室には何か所にも貼り紙がされてあった。

「注意事項! 島にはコンビニも飲食店もホテルも何もありません。事前に民宿を予約しなければ、島で食べ物や寝る場所を確保することはできません」

 読み終えた僕ちんは、昨日の身支度の様子を思い返した。あれも持ったし、これも持ったし、忘れ物はない。大丈夫だ。だからもう一度おばちゃんに顔を向け、笑顔で言った。

「はい、ダイジョーブです!」と。

 しかし、実をいうと、自転車のサイドバックには乾いたままのパスタの麺と調味料が一式あるだけだった。ついでに言うと、宿の予約も取っていない。島に知り合いもいない。上陸するのすら初めて。正直に話せば間違いなくおばちゃんを心配させる。ただし、僕ちんには、それでも「ダイジョーブ」と答えられるだけのモノがあった。


――今、上と下とが真逆の世界にて、ゴムを目一杯引っ張ったソイツを手に、魚を追いかけている。

 あのとき、おばちゃんに嘘をついたつもりはない。弁当があるとは一言も言ってはいなく、その代わりに「ダイジョーブ」とだけ言ったのだ。

 南の島とはいえ、季節は5月の半ば。春濁りが抜けておらず、魚も決して多くはない。海面からはなかなか見えない魚を探すため、何度も空潜りを繰り返す。

 ふと、岩の隙間に食べられそうな魚がいるのを見つけた。

 他に目ぼしい魚はいない。ここで獲らなきゃ、さすがにあの「ダイジョーブ」も嘘になる。そんなことを思いながら、静かに潜行し、そっと岩に張り付き、岩陰で安心している魚の頭を狙う。かなり近付いているが、逃げないだろうか。いや、きっとダイジョーブだ。

 臆することなく、僕ちんは「銛」を撃った。


 水温は21度、最深潜水深度は8.4m。キャンプはまだまだ始まったばかりだ。
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